書類や情報が散らばっていると、ついこんなふうに考えてしまうことがある。
「自分は整理が苦手なんだろうか」
「ちゃんと管理できていないからだろうか」
でも、実際の現場を見ていると、この状態は個人の性格や能力の問題で起きているとはあまり思えない。
多くの場合、書類・Excel・LINEが混ざってしまうのは、仕事の流れそのものが、そうなりやすい形になっているだけだ。
情報が生まれる場所は、最初から一つではない。
現場での会話、取引先からの電話、メールで届く見積や請求、LINEで送られてくる写真や指示、あとからまとめようとして開くExcel。
それぞれは、その瞬間では一番楽な形で受け取っている。
「今はこれでいい」
「とりあえず分かればいい」
その判断自体は、間違っていない。
問題が起きるのは、その情報をどう使うかが決まらないまま、次の仕事が始まっていくことだ。
これは後で確認する情報なのか。
判断の根拠として残すものなのか。
誰かに引き継ぐ前提のものなのか。
そこが曖昧なまま、
紙は棚へ。
メールは受信箱へ。
LINEはトーク履歴へ。
Excelはとりあえず保存。
と、発生源ごとに置かれていく。
さらに、書類やデータにならない情報もある。
なぜその判断をしたのか。
前回、どこでつまずいたのか。
この取引先で気をつけるべき点。
そういったものは、どこかに書いてあるわけではなく、社長や担当者の頭の中に残ったまま次の仕事に進んでいく。
忙しく現場を回していれば、それも自然なことだ。
こうして、
紙。
データ。
メッセージ。
人の記憶。
それぞれが別の場所に置かれたまま、仕事だけが前に進んでいく。
すると、「どこに何があるか分からない」という感覚が生まれる。
これは、整理ができていないというより、整理する前提が、そもそも用意されていない状態に近い。
だから、ファイルを作り直しても、フォルダを分け直しても、しばらくすると、また混ざる。
それは、意志が弱いからでも、続かない性格だからでもない。
情報の置き場が、「何のための情報か」ではなく、「どこで生まれた情報か」で決まっている限り、同じことは繰り返される。
この状態をどうにかしようとするとき、いきなり「管理方法」を考える必要はない。
まずは、「自分たちは、情報をどう整理しないまま使ってきたのか」
そこに気づくことの方が、ずっと大事な場合が多い。

